飛行機好きの人に是非資料としてお勧めしたい一書。
謝辞の最後に「厚い本を買ってくれて感謝します。できたら全部読んでいただけたらありがたいです。」とあるくらい厚い。資料以外で654ページ。小説じゃないから読むのにとても時間がかかる。でも30ページに一つくらいは「おお、そうだったのか!」っていうことが書いてある。日本で通読しようというのは航空宇宙関係者とサイエンスライターで4,5人くらい??
アームストロングと共著ではないので学者がストレートに書いてある。一般的なところでは娘の死の影響について延々と記述があるが航空宇宙の興味から読むとその辺が冗長。しかしさすが学者、400年前のスコットランドには「(アームストロング家追放のため)アームストロングの名前の者は絞首刑にすること」という法律があったというのにはびっくり(p.13)。
アームストロングがボーイスカウトでの最高ランクであるイーグルスカウトだったことは良く知られていますが、スカウト活動についてちょっとしか記述がないのは残念。
X-15プログラム、LLRV/LLTV、NASAドライデンフライトリサーチセンター・エドワーズ空軍基地などのテストプログラムのエピソードを知りたい方には正確で詳細な面白情報が多い。ライト・スタッフでアームストロングがジェットを泥にはめたというのがありますが嘘と間違いです(p.187)。何とイェーガーと同乗のT-33で、着地場所を指定したのはイェーガー。
アームストロングが出会った事故などをリストしてみましょう。
・ 飛行クラブのエアロンカの物損p.62
・ Panther Jetでの射出p.94
・ Pantherのフレームアウトp.104
・ D-558母機のB-29のプロペラ飛散p.135
・ X-15で浮きすぎショートの危機p.182
・ T-33でドライレイクの泥にはまるp.187
・ ネリス基地で意図せず着陸フック使用p.190
・ 宇宙技術上はもっとも重大、ジェミニ8号でアジェナと史上初のドッキングをした際にスラスタが閉じずロールが続き極めて危険な状況にp.258
・ 月面着陸エミュレータのLLTVから射出p.329
・ ジェミニには比べられないがアポロ11号の着陸ロングp.473
航空宇宙技術にアームストロングが残した、今も生きる業績を二つ。一つは超高空からの着陸に螺旋のパスを用いる技術をドライデンのF-104プログラムで開発したこと(スペースシャトルの着陸に使っているもの)。もう一つは飛行士引退後にNASAの飛行技術部門にディジタル・フライ・バイ・ワイヤの技術開発プログラムを促したこと。
おまけ。アームストロングは二番目の奥さんとグライダーに出かけることもあるらしい。P.101の(鎌倉の)DaihatsuというのはDaibutsuの間違い。
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