FAI CIMP(医事委員会)2005年参加報告

 

嶋田(しまだ) 和人(かずひと)

FAI CIMP日本委員

FAI CIMP副委員長

日本滑空協会

日本グライダークラブ

200595

 

1.        概要

2005
827日〜28日にポーランド、ワルシャワ市で開催された、FAI技術委員会の一つであるCIMPCOMMISSION INTERNATIONALE MEDICO PHYSIOLOGIQUE)は11カ国(加えて2ヶ国が欠席連絡)13名が出席しエアー・スポーツの医学・生理学領域について論議を行った。

2.        日程・会場

(ア) 本年はポーランド委員Dr.Janusz Marekとその甥のDr.Grzegorz Marekの周到な準備によりポーランドエアロクラブの全面的支援を得て開催された。会場はオケンチェ空港(ショパン国際空港)の敷地に隣接した燃料会社の会議室。

(イ) 国際航空宇宙医学会であるICASM年次会議にも出席する委員の多いことから恒例の通りワルシャワ市内でのICASM開催週の直前にCIMPは開催された。嶋田はICASMの登録費が高額であるためCIMPのみ参加す。

(ウ) 27日にCIMP理事会と技術会、28日に総会が開催された。嶋田は副委員長として全てに参加した。

3.        主要議事

(ア) 議事録
詳細については議事録案を添付する。この案の正式承認は次回委員会となる。以下、日本に関係の深い点について記述する。

(イ) 参加者
委員はドイツとポーランドが代理を含め各2名が参加した。各国の国内事情により意欲のある委員候補が必ずしも正規委員になっていない情況があり(例えばギリシャ)実際の参加者の数は多くないが参加委員の活動は活発である。今年は長年のロシア委員の死去への黙祷が行われた。

(ウ) 身体検査基準
 JAAにより規定されたJAR-FCL3(ヨーロッパ統一航空身体検査基準)がヨーロッパ各国で適用されてきているが、ドイツ、スペインを始めとしてグライダーなど以前より基準が厳しくなり、時間がかかりコストが高くなった国で不満が高まっている。スイスは最初に適用した国であり特に不満は表明されなくなっているとのこと。
 *ポーランドの飛行クラブの情報では日本の技能証明と身体検査証明で書類上の書き換えが可能であるとのことであったが、嶋田が到着日に実際に申請を試しに行ってみたところ、手続き途中で日本のICAO適合の身体検査証明ではだめなことが判明し、申請料100PLN(zl)を返金された。スペインでも以前は日本の二種でグライダーのスペイン免許への書き換えが出来たが、現在ではJAR-FCL3が適用されたので日本の身体検査証明では書き換えができなくなっている可能性が高い。

(エ) 身体検査の必要レベルについて
 このレベル設定には科学的には事故率の比較が必要である。英国では2トン以下の軍用飛行機による第三者被害は少ない(8名死亡)、という統計報告が英国Saundby委員より行われた。これは2トン以下の飛行機が建物内の第三者に傷害を与えた例がないためとの分析である。英国では国内の自家用飛行機免許については英国の医療制度によるかかりつけ指定医師が身体検査証明を行えるように変更されて数年が経っており、問題はないとのこと。これは軽い航空機は事故を起こしても搭乗者以外には被害がないという事実に基づいていることである。大いに参考にすべき制度である。
 ポーランドでもJAR-FCL3の適用が進んでいるが、脳波異常の診断の問題が指摘されたとのこと。ポーランドは人口四千万人弱の国であるが、新規身体検査が年に920名ほどとのこと。なおグライダーの免許所持者が3,000名ほど、うちアクティブなパイロットは1,000名程度とのことである。ポーランドのグライダー免許にはFAI銀章取得が必要。

(オ) 事故原因分析方法の適用について
ドイツ委員よりドイツ空軍とドイツのグライダー界で進めているHFACS分析の結果の提示があった。HFACSは米海軍と空軍で事故低減に成果をあげている分析手法であり、日本でも事故のHFACS分析を行うべきである。

(カ) 老齢パイロットの問題
英国では老齢のパイロットが増加しているためシンポジウムが開催された。方向としては、軽い飛行機の事故は第三者への被害を及ぼさないのでソロによる飛行は許すべきとのものであるらしい。

(キ) ドーピング検査
 CIMPに直接関係するTherapeutic Use Exemption(TUE)の処理については特に問題なく、インスリンの許可もあったとのこと。
 各国にFAIの「重要選手リスト」が配布されているかどうか議論になったが、日本航空協会には一名の連絡があったのでFAIでリストの管理は行われているはず、と述べた。
 ドーピング検査の機構について、WADAからUNESCO条約に仕組みが変わるので日米にはインパクトがある旨述べた。ヨーロッパ各国は既に法律への取り込みが行われているのでUNESCOが係る影響は少ないようであるが、日本ではこれから法律との関連がつくので動向を注視する必要がある。

(ク) ワーキンググループ
 ドーピングに関連するCIMPワーキンググループとしてWADA WGが作られ、嶋田もメンバーとなりスイス日伊を中心に活動することになった。他にHFACS(事故分析)、EASAJAAからEASAへの移行を注視)

(ケ) 新役員選出
委員長が新たに英国Saundby委員と決定した。嶋田はオーストリアSchober委員、キプロスChristophides委員とともに副委員長として再選された。

(コ) 次回開催予定

@      2006
規定より開催地はローザンヌ、日程案2006616日〜18日(初日はHFACS事故解析講習も含む)

A      2007
ICASM
に合わせ、アクセスの良いウィーンで開催。

 

以上

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