日本航空協会御中
FAI医学生理学委員会(CIMP)参加報告
2001年7月12日
日本グライダークラブ 嶋田 和人
緒言
2001年6月26日にスペイン西岸のヘレス市で第2回ワールド・エアー・ゲームズと併せ開催された標記会議に嶋田が日本航空協会からの代表として参加した。以下に議事内容を速報する。議事録は後日事務局が作成する。CIMP参加国は過去最多の19ヶ国であった。日本は初参加である。
なお、同所にて前後の期間に以下の会が併せて開催された。
・CIMP主催「第1回FAIエア・スポーツ医学シンポジウム」 (嶋田発表要約・使用スライドを参照)
・ JAA-FCL医学委員会 (日本からは参加者なし)
CIMP主要議事内容
1. ドイツの代表を過去に務めていたBruno Miller氏の逝去が報告され黙祷。
2. 前回のプラハでのCIMP会合の議事録検討。FAI内での変革について論議があった後承認。
3. ホームページについて。IOCのドーピングについてのページへのリンクがある。エア・スポーツに関連してJAR 3 の医学部分が影響するとの認識あり。
4. FAI広報活動に関して。FAI機関誌へ投稿を行うこととなった。
5. FAIの他の委員会との連携について。過去に比べて他の委員会との通信は活発になってきたと報告された。
6.
ドーピングについて。
・グライダー競技会にてプロテストにより疑い例があったが検討の結果ドーピングはなかったと結論された。
・検査コストについて嶋田が質問したところ競技団体が支払ったとの回答であった。
(ドーピング検査には多額の費用がかかるためFAIがIOCのドーピング手続きを使用する場合にはコスト負担者が誰なのかを明確にする必要がある。)
・イタリア委員よりドーピング検査を行う企業(BADA)が登場して独占状態である旨の報告があった。
・1995年にドーピングについての指針を作成することが決議されてから現在に至っている。
・今回の第二回WAGではどう施行しているかとの問いに対しスペイン委員から、「スペインの法規に則り施行されている。事前指定されていないある一日の尿検査を実施する。」との回答があった。検査会社はBADAとのこと。
・イタリア委員から、イタリアの規制では水を与えるのも担当医師の責任であるとのコメントがあった。
7. 競技中の事故への対応についてガイドラインが作成されたとの情報があった。
8. 各国の活動状況について。オーストリアよりFAAのDr. Jon Jordanを招いての医学会議を開催したこととヘリコプターの国際競技会を開催したことの報告があった。
9. 各国NACの記念日についての報告があり、各国のNACの記念日を祝おうとされた。日本航空協会の設立記念年を調べることが処置要件となった。
10.
第一回エア・スポーツ医学シンポジウムの結果について。
・内容については充実していた。
・参加人数は期待を下回った。(40名ほどであり、嶋田としてはこの種の催しとしては多人数集まったと考えるとコメントした)
・人数が少なかった背景として、スイスで9月に国際航空医学会議があることがあげられた。
・今回のスペインでの開催も問題山積であったとスペイン委員から解説あり。政治家が介入したが約束が守られなかった。CIMPをへレスで設定したのも、当初当地で動力曲技競技が開催されるはずだったからであるとのこと。
・エア・スポーツ医学シンポジウムは選手にもオープンにする方がよいとの議論あり。
・第二回についてはWAGに合わせて開催することで一致。おそらく2005年にヨーロッパでWAGが開かれるのでそれと併催になるであろう。
11. JAR取り入れについて。ドイツではJARへの加入が検討されている。FCL医学の規定に揃えるには医療器材のみでUS$150,000が必要となるために国内のみ適応の免許対応とする’national variation’を主体にする主張がある。最新ドラフトに対しDAeCは反対である。グライダーパイロットの扱いが焦点となっている。
12. 事故報告書式の統一についてはJAAの活動が有効であるとの議論があった。
13. 次回のCIMP会合について。次回は2002年6月にキプロスで2日間(学術発表1.5日、管理会議半日)で実施することに決定。
14. 役員改選。会長は3年間務めたスイス委員のDr. Maireから16票を得たスペイン委員のDr. Ortizに交代となった。事務局長はイギリス委員(BGA) Dr. Saundby、副会長3名はフィンランド委員Dr. Vapaavuori、イタリア委員Dr. Dalmonte、キプロス委員Dr. Christofidesに決定。
15. 新会長Dr. Ortizより所信表明があり、ホームページによるコミュニケーションの発展と、医学基準の設定の基礎となる事故調査書式の統一を当面の目標とするとされた。
要処置案件
嶋田が必要と考える日本航空協会による処置項目を以下に挙げる。
1.
航空協会が日本国内で実施する国際選手権に適用するドーピング検査の実施要領を定めること。
この際、検査コストが高額であり、国内の検査業者では(現在もおそらく)対応できないことを念頭に置く必要がある。プロテストがあった場合にFAIスポーティングコードにあるドーピング検査手順に従って処置できる必要がある。
2. エア・スポーツ選手(特に問題となるのは国内で航空機操縦をすると分類されているグライダー・パイロット)に適用する身体検査基準について管轄官庁へ国際的な状況の情報提供を継続して行うこと。
3. 次回のWAGの開催場所・開催時期についてエア・スポーツ愛好者への周知を徹底すること。
4. 2002年のCIMP会合への対応(参加者派遣)を予定すること。
5. 次回のWAGに併せて開催予定の第二回エア・スポーツ医学シンポジウムの開催案内を国内に徹底すること。
6. 日本航空協会の記念年について明らかにすること
参考
1. FAI CIMP 2001年会合議題 http://www18.tok2.com/home/soar/med/cimp2001/agenda.gif
2.
第1回FAIエア・スポーツ医学シンポジウム・嶋田発表要約
http://www18.tok2.com/home/soar/med/cimp2001/abstract.gif
3.
第1回FAIエア・スポーツ医学シンポジウム・嶋田発表スライド
http://www18.tok2.com/home/soar/med/cimp2001/cimp2001.pdf
4. 第1回FAIエア・スポーツ医学シンポジウム・プログラム http://www18.tok2.com/home/soar/med/cimp2001/program.doc
5. FAI CIMP ホームページ http://www.fai.org/medical/
- 以上 -