2005年3月15日下総航空基地見学会
JAPA会員 嶋田 和人
2005年3月15日にJAPA主催のRJTL海上自衛隊下総航空基地見学会が開かれました。国道16号線経由と東部野田線高柳駅経由で12名の会員が集い、基地広報室と各隊の方にお世話になりました。平日なので実際に運航を見ることができ、5℃と風は冷たいけれども雲高は高く良い見学日和でした。

【ラインアップにP-3C、YS-11があるため格納庫も巨大。YS-11は稀少パーツを先手をうって確保しているそうで、まだ10年は使うつもりとか。】
滑走路は2,250m x 45m、RWY01/19、24時間運用の堂々たる飛行場です。24時間管制塔のラジオは通じ、運航担当も毎日当直がいるそうで、緊急着陸はいつでも大丈夫とのこと。照明はリクエストで点灯。休日はトラフィック僅少。気象も毎日観測でMETAR報告ステーションとしてFAA-ADDSホームページにも載っていますが、なぜかいつもデータが出てくるわけではありません。宇都宮は休日気象報告がないので、ここの予報が見られると大変良いのですが、自衛隊や保安庁などに提供先が限られるので電話問い合わせも不可とのこと。残念!
基地はゴルフ場だった場所が昭和19年に旧陸軍飛行場、米空軍接収を経て昭和34年から海上自衛隊。現在は教育隊(P-3C、YS-11T)、整備隊、基地隊(UH-60J救難、管制、気象、通信、管理)、術科学校(整備他)、通信隊、補給処、警務隊、と盛りだくさんで2,000名ほどが勤務しています。我々は幹部・搭乗員食堂で管制隊と昼食懇談をさせて頂きましたが食堂も1,000名規模。

【担架11名、70m/300kgのスリングが可能、6時間飛べる救難用UH-60J】

【Shimofusaタワー。左窓下に見えるP-2Jは地上訓練用で格納庫の高さに垂直尾翼が切断されている。】
普通の見学者だったらP-3CやYS-11T(P-2Vの航法訓練用改造版、今はP-3Cの基礎航法訓練用)に感激、管制塔からの眺めに歓声、でしょう。UH-60Jで実際に救難に出撃するパイロットは寒風吹きすさぶ中丁寧に説明して下さいましたし。でも今回のグループは機体にはすれているため、一番感激したのは真っ暗のGCA管制室でのキングエア訓練機のGCA誘導の実演でした。GCAは機体側にラジオさえあれば精密進入が可能です。しかし管制官の負担が大きいため(一機のアプローチ中2名がつきっきり)、名古屋でもなくなり民間では那覇くらいしか残っていないようです。専用の局舎の中には一人2台のスコープが4組。見ていると真剣な訓練機でもシアのためか結構ずれます。垂直、水平とも2マイルほどまでは修正の連続。水平は方位角3桁の指示ですが2、3度ずつ修正していました。ILSもGCA用PARも南側空域の輻輳のためかRWY19のみで、RWY01はサークリングアプローチだそうです。
キングエアに「関宿グライダー7機」と言うのでどう数えるのか聞いたら、電話連絡の数だそうです。デジタルのASRに代わるとプライマリーエコーは見られなくなってしまうとのことで、関宿では今後は純グライダーもトランスポンダーが必要か。

【RWY01のアプローチ経路。RWY19の計器進入は10マイル北で2,000フィート。VFR機のためホールドさせることがあるそうです。1,500以下か2,500以上がありがたいとのこと。】
17年間オーバーホールもなしに動いているP-3Cモーション・シミュレータ。ちょっとでも悪そうなところは先んじて整備するのがコツとか。28億円の元はとれていそうです。生徒3名が昼食持って乗って6時間も連続で訓練するというのにはびっくり。シミュレータの動いている足元を下から見られる機会は貴重でした。
この辺で「ええっ、まだ見るものあるんですかあ?」という悲鳴も聞こえたような気がしますが、私としては今回GCA実演の次に感動したのがSH-60J整備教材。何と教材のためだけに23億円かけて作った新機。だから見える、見える、構造が丸見え。損傷の要求のせいか全体に普通のヘリより強度メンバーが太いようです。UH-60と異なりブレードを畳むためのピン抜きとブレード曲げに一箇所ずつモーターがついているのにびっくり。誰のアイデアかは聞きそびれましたが大正解の教材だと思います。
さらに加えてお土産屋。制服はビジターは買えないので私はジャンパーにしました。もう一つの店が「アーミーショップ」なのはちょっと微笑ましいかな。共用エリアは改築されていて全般的にきれいな基地です。
朝から5時間半の見学につきあって頂いた公報の方にお別れして我々はさらに国道16号のファミリーレストランで一時間半歓談。
この飛行場は東側は場周の幅くらいが基地内です。北は手賀沼で住宅はわずか。西はすぐ民有地でその先は松戸市街。南は鎌ヶ谷市で住宅密集地。北以外からは騒音のクレームがあるそうです。P-3C後継の川重P-X(平成19年初飛行予定、木型www.sjac.or.jp/active/pdf/ac0502_001.pdf)はジェットであり、設計の騒音要求の程度によりますが運用が苦しくなるのは間違いありません。騒音問題でP-Xは運航しないことになる可能性もあるでしょう。場所柄は首都圏のジェネラルアビエーションに最適のこの飛行場。軍民共用を模索するべきではないでしょうか。西側の土地一部をJAPAで取得して誘導路とし、周辺をスカイパークとして開発すれば、海外はもとより関西・九州と比べても圧倒的に貧弱な首都圏のジェネラルアビエーション環境が一変することは間違いありません。
来年は2年に一度の安全連絡会がありP-3Cに搭乗して周辺を見渡す機会もありそうです。是非この基地に関心を持っていただきたいと思います。
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