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焼香
斉藤☆朋之
この度は誠に と深く腰折ったが
その顔が気になって後が継げない
喪服姿の娘のことだ
愁傷様で と喉まで出かけたが
焼香の手順思い描いて後が継げない
三回ヲ正式トスルガ略式ニハ一回デモ構ワン
とする例のやつだ
まず有顔で遺影拝し
香ハ親指ト中指ト人差シ指トデツマミ
一端高ク押シ戴イテカラ爐ニ降ラスと云うのだが
一体あの娘
金銭づくで下腹の矢印突き立てさせる
若しくは
他界した飯屋の妾腹
つまり梅ちゃんの異母姉に当たるが
中学校出てすぐ自称共産党(アカ)との醜聞振り撒き
都会へと逐われ
以来
万国旗の肉襦袢纏い照明浴び
手品師の相方務めて拍手喝采
投げ銭湧いた宵はまだしも
不況の風と寄る年波にはやがて勝てず
一体あの娘
欲得抜きで下腹の矢柄突き立てさせる
若しくは
八百屋の軒先で獲物一箇抱えた瞬時に掴まり翻り
革命よりも手品よりも
あっさり南瓜撰び
巡査の女房気取る名代の女か
再び遺影拝し向き直り
遺族に一礼
この度は誠に と深く腰折ったが
その顔が気になってはすっかり
二の句が継げない
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