MiG-21(ミグ21;ロシア語:МиГ-21ミーグ・ドヴァーッツァチ・アヂーン;ウクライナ語:МіГ-21ミーフ・ドヴァーッツャチ・オドィーン)は、ソ連のミグ設計局が開発した戦闘機。多くの機数が生産され、世界各国に配備がされた。ソ連では三角翼機はしばしばその翼形からバラライカ(ロシアの弦楽器で、三角形の胴体が特徴)と渾名されていたが、MiG-21も例外ではなかった。北大西洋条約機構(NATO)は「フィッシュベッド」(Fishbed)というNATOコードネームを付けた。
どんな飛行機?

MiG-21は、ソ連において1950年代前半より開発された。開発に当たり、設計局では二つの系統の試作機を製作した。そのうち先に完成したYe-2(Е-2イェー・ドヴァー)は、MiG-15からMiG-17、MiG-19と受け継がれてきた後退翼を持った機体で、MiG-19から開発された後期の試作機とよく似た外見の機体であった。一方、もうひとつの試作機Ye-4(Е-4イェー・チトィーリェ)は、新しい水平尾翼つき三角翼を持った機体であった。これらMiG-21の初めの試作機であるYe-2とYe-4は、ともに1955年に初飛行を行った。その後同年には展示飛行を行い初めて公に姿を現したが、このときはスホーイ設計局で開発されていた2種類の機体も飛行を行った。これらは後退翼のSu-7と三角翼のSu-9に発展した。一方、MiG-19から正統的に発展した後退翼のYe-2は、改良型も製作されMiG-23(tip 23)という名称で量産されるという計画も出されたものの、結局は開発中止となった。

第1世代

Ye-4の発展型であるYe-5(Е-5イェー・ピャーチ)は、1956年1月9日に初飛行を行い、その後MiG-21という量産機の名称が与えられた。次の改良型であるYe-6(Е-6イェー・シェースチ)は、1958年5月20日に初飛行を行った。また、Ye-6の3号機は1959年10月31日に15/25 kmコースにおいて2388 km/hという当時の世界速度記録を樹立した。その際の国際航空連盟への申請にはYe-66(Е-66イェー・シヂスャート・シェースチ)という名称が使用された。この3号機は、MiG-21シリーズの最初の生産型であるMiG-21F(МиГ-21Фミーグ21エーフ)となった。この機体の兵装は、基本的には2門の30 mm機関砲とロケット砲であった。

Ye-6の開発はさらに続けられ、1959年に初飛行を行ったYe-6T(Е-6Тイェー・シェースチ・テー)と呼ばれる機体は、新しいK-13赤外線誘導空対空ミサイル2発を搭載した。このK-13は、アメリカ合衆国製のAIM-9B赤外線誘導空対空ミサイルのコピーであったが、独自に発展し、のちには改良型のR-3Sやレーダー誘導型のR-3Rなどを生み出し長らく東側の標準的兵器となった。このK-13を搭載する機体はMiG-21F-13(МиГ-21Ф-13ミーグ21エーフ・トリナーッツァチ)として量産に入り、初の本格的な生産型となった。なお、MiG-21F-13はミサイルの搭載に伴い従来2 門あった機関砲を1 門に減らしている。

記録機として開発されたYe-66A(Е-66Аイェー・シヂスャート・シェースチ・アー)は、ロケットブースターを搭載し1961年4月28日に34714 mという絶対到達高度の世界記録を樹立した。

なお、MiG-21F/F-13等全天候能力のあるレーダーを搭載しない前線戦闘機として開発された機体は便宜的に「MiG-21の第1世代機」と呼ばれることがある。同様に、MiG-21PF等は「MiG-21の第2世代機」、MiG-21SM等は「MiG-21の第3世代機」、MiG-21bisは「MiG-21の第4世代機」と呼ばれる。なお、これはあくまでMiG-21シリーズの中での世代区分を行ったものである。これとは別に、一般に他機種との比較を行った場合はMiG-21bisは「3世代の戦闘機」とされる。この場合の第3世代とはMiG-23、MiG-25などを含み、西側の戦闘機ではF-4やミラージュF1に相当する。また、この場合の「第4世代」に含まれる機体はMiG-29、Su-27、F-15、F-16、ミラージュ2000などである。

全天候型へ

全天候戦闘能力が必須となってきた1950年代後半から1960年代にかけて、設計局ではMiG-21に本格的なレーダーを搭載する改良型を開発していた。ソ連ではそれまでMiG-17PF/PFUやMiG-19P/PMといった迎撃戦闘機を有していたが、これらはいずれも能力に限界のあるイズムルート・レーダーを搭載しており、MiG-21では新らたな装備方法で全く新しい形式のレーダーを搭載する必要に迫られていた。この課題に対する試作機の名称にはYe-7(Е-7イェー・スィェーミ)が与えられた。その内始めに設計されたのはMiG-21F-13を改修したMiG-21P-13(МиГ-21П-13ミーグ21ペー・トリナーッツァチ)であったが、最終的には操縦席後方に膨らみを設けて燃料搭載量を補ったMiG-21PF(МиГ-21ПФミーグ21ペーエーフ)が初の量産型となった。MiG-21の開発は、これ以降レーダー搭載型が主となった。

MiG-21P/PFの搭載した電波探知装置(RLS;РЛС;Радиолокационная станция;レーダー・ステーション)はTsD-30TP(ЦД-30ТПツェーデー・トリーッツァチ・テーペー)/RP-21U(РП-21Уエールペー・ドヴァーッツァチ・アヂーン・ウー)と呼ばれる当時完成していたものの中では最新型のもので、Su-9迎撃戦闘機に搭載されたTsD-30T(ЦД-30Т)/RP-9U(РП-9У)と基本的には同一のものであった。コマンド誘導システムの追加により、MiG-21P/PFでは従来のK-13空対空ミサイルに加えコマンド誘導方式のRS-2US空対空ミサイルが搭載できるようになった。大型機のSu-9ではTsD-30レーダー・ステーションは比較的無理なく搭載されていたが、ずっと小型のMiG-21への搭載には困難が伴った。機体構造は大きく見直され、機首は大型レーダーの搭載に従い太いものに変更され、機器や燃料タンク等の搭載場所の不足から背部の膨らみは大型化された。操縦性は劇的に悪化されることはなかったが、これは奇跡的なことであるといえた。

なお、MiG-21は昼間戦闘機であった第1世代までは「前線戦闘機」、それ以降は「迎撃戦闘機」と区分されているが、ソ連では1960年代頃は「全天候戦闘機」のことを「迎撃戦闘機」と呼んでいたようである。これは、レーダーによる全天候能力がないのが当たり前であった時代と逆にそれによる全天候能力があるのが当たり前になった時代との狭間における区分であったと考えられる。即ち、第二次世界大戦時の迎撃戦闘機MiG-3は当然ながら全天候能力は有していなかったし、現代の前線戦闘機MiG-29は高度な全天候能力を有している。

第3世代へ

MiG-21PFはその後MiG-21PFS(МиГ-21ПФСミーグ21ペーエーフエース)やMiG-21PFM(МиГ-21ПФМミーグ21ペーエーフエーム)などへと進んでいったが、これら「第2世代機」と呼ばれるシリーズに対し1960年代半ばには「第3世代」と呼ばれる機体が登場した。その初めの機体はMiG-21R(МиГ-21Рミーグ21エール)で、これは当初はMiG-21PF型の機体に各種偵察コンテナーを搭載する前線偵察機であったが、主として生産された機体は背部の膨らみを大型化した新しい機体であった。偵察コンテナーは作戦任務に応じて昼間・夜間・電波の3種類が用意されていた。

その後、この機体を基にMiG-21S(МиГ-21Сミーグ21エース)やMiG-21SM(МиГ-21СМミーグ21エースエーム)といった1960年代後半から1970年代にかけてソ連の航空戦力の主力を担った戦闘機型が生み出された。また、MiG-21SMを基に輸出向けのグレードダウン型としてMiG-21M(МиГ-21Мミーグ21エーム)が開発・生産された。その後、ソ連国内向けにより高性能なMiG-21bisが開発されると、ソ連型MiG-21SMと同等の能力を持ったMiG-21MF(МиГ21МФミーグ21エームエーフ)や改良型のMiG-21MF-75(МиГ-21МФ-75ミーグ21エーフ・スィヂスャート・ピャーチ)などが開発され、輸出されるようになった。

第4世代へ 1971年に初飛行したのが、MiG-21シリーズのひとつの完成型となった「第4世代機」MiG-21bis(МиГ-21бисミーグ21ビース)であった。これはさらに大型化した背部の膨らみを持ち、MiG-21としては最も高い能力を付与されていた。MiG-21bisは、F-15やF-14を仮想敵として開発された機体であった。また、ソ連のアフガニスタン侵攻では、主力戦闘爆撃機として多数が投入された。
複座型 MiG-21には各世代に対応する複座の高等練習機として使用される教育訓練戦闘機(Учебно-тренировочный истребитель)型が製作された。主なものとしては、MiG-21U(МиГ-21Уミーグ21ウー)、MiG-21US(МиГ-21УСミーグ21ウーエース)、MiG-21UMМиГ-21УМミーグ21ウーエーム)などがある。これらは戦闘機型のMiG-21の退役後も各種試験に用いられたり、また専用の高等練習機として使用が続けられている場合がしばしばある。
海外輸出

MiG-21シリーズは、ソ連をはじめ東欧、アジア、アフリカを中心に世界各国に配備された。生産はソ連の他、チェコスロヴァキア(S-106という名称でMiG-21F-13の改修型をライセンス生産)、インド(MiG-21FL/M/bisをライセンス生産)、中華人民共和国(MiG-21F-13をコピーして殲撃7型として生産)、独立後のグルジア(MiG-21UMを2機のみ生産)でもなされ、とくに中華人民共和国では主力戦闘機として現在でも生産が続けられている。また、同国で開発された第4世代戦闘機FC-1梟龍スーパー7という別名を持ち、殲撃7型即ち同国製MiG-21の発展型である。

MiG-21はソ連製だけでも、各型合わせて10000機以上いう超音速機としては他に例を見ない数の機体が生産されており、戦後最も成功した戦闘機のひとつである。

実戦

MiG-21の使用された主な事件は以下の通り。

  • 1960年代:ヴェトナム戦争
  • 1960年代以降:アフリカ各地での紛争
  • 1960年代~1980年代:各次中東戦争及び同地域におけるその他の武力衝突
  • 1965年:第二次印パ戦争
  • 1968年:プラハの春
  • 1969年:珍宝島事件
  • 1970年代以降:インドシナ方面での紛争
  • 1971年:第三次印パ戦争
  • 1978年以降:ヴェトナムによるカンボジア侵攻
  • 1979年:中越戦争
  • 1979年~1989年ソ連のアフガニスタン侵攻
  • 1980年~1988年:イラン・イラク戦争
  • 1991年:湾岸戦争
  • 1990年代:ユーゴスラヴィア紛争、コソヴォ紛争等旧ユーゴスラヴィア地域での内戦
  • 1990年代後半:エチオピア・エリトリア国境紛争

MiG-21はその運用国が多いため、この他にも多くの紛争や内戦に使用されている。

これからは?

現在でも世界各国の空軍に配備されており、近代化改修を行った機体のみならず、今後も多数運用し続けられると見られている。また、MiG-21は超音速戦闘機としては他に類を見ないほど構造が簡単で維持しやすいため、維持の難しいMiG-23やMiG-29などを退役させてMiG-21に統合した国もある。これは、冷戦後の軍縮の一つの典型といえよう。MiG-29やMiG-23MFを退役させてMiG-21ランサーを残したルーマニアや、MiG-23MLD等を退役させてMiG-21bis SAUを残したブルガリアなどがこれに当てはまる。 ソ連の品質管理が雑なこととMiG-21の構造が単純なため屋外で放置されていた。

MiG-21は機体構造が簡単であるとされる一方で、ルーマニアでMiG-21を近代化改修する際に最重要改修点となった点のひとつに「部品・規格等の統一」というものが挙げられていたことから分かるように、MiG-21は機体の規格がまちまちで、その点において整備が煩雑であるという欠点があるとされている。また、初期の機体は「レーサー」であると言われ、また、1 秒あたり90度以上のロールを与えると回転が止まらなくなるというほど操縦が非常に困難な機体であったとされている。これは、後期の機体でも完全には改善されなかったようである。また、航続距離が非常に短く、運用上支障もあった。これは国外逃亡を防ぐためもあると言われるが、機体に改良を加えるごとに燃料搭載量を増加させるという努力が続けられていることを考えると、そのような目的があったとは考えにくい。

近代化改修 近代化改修案は各国から出されている。現在も開発・生産を続けている中華人民共和国を別とすれば、ロシアのMiG-21-93(別名MiG-21UPGМиГ-21УПГミーグ21ウーペーゲー)やMiG-21-93I(МиГ-21-93Иミーグ21-93イー)、MiG-23-98MiG-21K(МиГ-21Кミーグ21カー)、ルーマニアのランサーI/II/III(Lancer I/II/III)、イスラエルのMiG-21-2000が主なところである。この他、チェコは運用する自国のMiG-21MFをNATO標準に合わせたMiG-21MFNに改修している。チェコではより高度な近代化改修を行う計画もあったが、結局スウェーデン製のグリペンを導入してMiG-21を代替することとし、MiG-21MFには最低限の改修しか施されなかった。また、ウクライナでも近代化改修機が開発されていた。同国では海外の運用国の機体の改修や定期点検も受け持っている。

ソ連/ロシア/ウクライナ/グルジア/インド/ドイツ

  • Ye-2(Е-2)
MiG-19から発展した後退翼機。エンジンは予定したAM-11(RD-11、のちR-11)が間に合わなかったためMiG-19シリーズが2基搭載していたAM-9B(RD-9B)を1基搭載し、1954年12月25日に完成、翌1955年2月14日に初飛行を行った。
  • Ye-2A(Е-2А)
AM-11を搭載した2号機で、主翼上の境界層版を大型化していた。MiG-23(tip 63)として生産に入る計画もあり1957年に7機が製作されたが、結局は採用されなかった。
  • Ye-4(Е-4)
三角翼機の1号機。主翼下面に大型の境界層版をつけていた。エンジンは当初はRD-9Bと同推力のRD-9Yeで、のちに若干推力の向上したRD-9Iに換装された。なお、エンジンの換装以外にも機体は徐々に改修され、主翼下面の大型の境界層版を廃し、かわりに3枚の小型の境界層版を主翼上面から下面にかけて装備するなどした。1955年6月16日に初飛行を行った。
  • Ye-50(Е-50) ВВС СССР Е-50 ВВС СССР Е-50 ВВС СССР Е-50/3
Ye-2の発展型で、AM-9Yeジェットエンジンに加えS-155ロケットエンジンを追加した混合動力機。3号機は機首が延長されていた。
  • Ye-50A(Е-50А)
燃料消費量の大きなロケットエンジンのため、機体下面に大型の燃料タンクを装備する機体として設計されたが、実際には製作されなかった。
  • Ye-5(Е-5)
Ye-4の発展型。1956年1月9日に初飛行し、同年末にこの機体を基にして新型前線戦闘機MiG-21の量産されることが決定された。H-5I-500とも呼ばれた。
  • Ye-6(Е-6)
Ye-5の発展型で、信頼性に乏しかったRD-11エンジンをR-11F-300に換装するなどの改修を行った。1号機は1958年5月20日に初飛行を行ったが、28日には墜落して失われた。
2号機は境界層版を外側1枚のみに減じ、機首側面に機体の横滑り時のエンジンのストール防止用の空気取り入れ口を設けた。1960年には主翼端への空対空ミサイル搭載の試験機に改造された。
3号機はエンジンのストール防止用の空気取り入れ口を増設した。1959年10月31日には15/25 kmコースにおいて2388 km/hという当時の世界速度記録を樹立した。なお、その際の国際航空連盟への申請名はYe-66であった。この3号機を基に初めの生産型MiG-21Fが製作された。
  • MiG-21F(МиГ-21Ф / Изделие 72) ВПС України МіГ-21Ф #01, 2001
初期型。NR-30機関砲を2門搭載する。R-11F-300エンジンを搭載し、1959年に初飛行を行った。翌1959年秋から1960年半ばにかけて99機が生産された。なお、MiG-21Fは設計局内ではYe-6Tと呼称された。後には、MiG-21F-13同様の垂直尾翼の増積や、R-3(K-13)ミサイルの運用のための改修が行われた機体もある。
  • Ye-6T/3(Е-6Т/3)
カナードを装備する機体。のちにはK-13ミサイルの搭載試験に用いられ、その成果は初の本格的生産型MiG-21F-13に生かされた。
MiG-21F-13
  • MiG-21F-13(МиГ-21Ф-13 / Изделие 74) БВВС МиГ-21Ф-13 #520 и 515 и МиГ-21ПФМ #78 и МиГ-21М #210 и МиГ-21бис САУ и МиГ-21УМ, 2003
本格的に生産の始められた昼間戦闘機型で、R-3S(機体名称の-13はR-3Sの試作名称K-13に由来)ミサイルを運用可能としたかわりにNR-30を1門に減らしている。R-11F-300エンジンを搭載し、1959年に初飛行を行った。
  • Ye-6V(Е-6В)
MiG-21F-13に不整地での短距離離着陸性能を付加するために改造された試験機。
  • Ye-66A(Е-66А)
1961年4月28日に34714 mという絶対到達高度の世界記録を樹立した機体。出力向上形のR-11F-200とロケットエンジンを搭載していた。
  • Ye-7(Е-7)
レーダー搭載型の一連の開発機名称。
  • MiG-21P(МиГ-21П)
TsD-30T全天候レーダーを搭載する迎撃戦闘機(全天候戦闘機のこと)型の最初の型であったが、生産されなかった。R-11F-300エンジンを搭載する最初の試作機Ye-7/1は10機が製作され、1958年8月に初飛行を行った。試作機はYe-7/2Ye-7/3と作られ、Ye-7/3はこのシリーズの最初の量産型迎撃戦闘機であるMiG-21PFの直接的な基礎となった。
iG-21PF
  • MiG-21PF(МиГ-21ПФ / Изделие 76) HungaryAF MiG-21PF #501, 2002
量産・配備された最初の全天候戦闘機型。MiG-21の第2世代機。固定武装は廃されている。搭載レーダーはTsD-30TP(RP-21)であった。新型のR-11F2-300エンジンを搭載するYe-7/4が直接の原型機となった。なお、試作機はMiG-21Pからの連番であるが、特に区別するとすればYe-7/3とYe-7/4がMiG-21PFの試作機といえる。
Ye-8
  • Ye-8(Е-8) ВВС СССР Е-8 #82 ВВС СССР Е-8 #82
  • 1962年に初飛行したMiG-21PFの大幅な改設計型。R-21F-300エンジン1基を搭載した。2機のみ製作されたが、1号機(#81)が事故で失われるなどし、機体の欠陥の改善される見通しも立たなかったため開発は中止された。
  • MiG-21FL(МиГ-21ФЛ / Изделие 77)
インドでのライセンス生産機で、基本的にはMiG-21PFM初期型の輸出仕様機であるが、吹き出しフラップがないなどMiG-21PFとの中間的機体構造を持っている。R-11F-300エンジンとR-2Lレーダーを搭載した。MiG-21PFM同様、機関砲コンテナーを搭載することもできる。1965年から1968年まで生産され、1966年から2005年現在に至るまでインド空軍で運用されている。
  • MiG-21PFS(МиГ-21ПФС / Изделие 94) ВВС СССР МиГ-21ПФС #09, 1995
R-11F2S-300エンジンを搭載し、1962年に初飛行を行った。最大の改修点は主翼に吹き出しフラップ(SPS)を採用したことで、これ以降の機体はこのシステムを備えることとなった。試作機はYe-7SPSと呼ばれた。比較的少数が生産されたに留まった。
  • MiG-21SPS(МиГ-21СПС) DDRLA MiG-21SPS #869, 2005
MiG-21PFSの東ドイツでの制式名称。
  • MiG-21SPS-K(МиГ-21СПС-К) DDRLA MiG-21SPS-K #981
MiG-21SPSの改修型で、MiG-21PFM以降の発展型同様、機関砲コンテナーを搭載可能としたもの。外見上は、MiG-21PFM後期型に酷似している。風防は上方へ膨らみをもったツーピース型。
  • MiG-21PFM(МиГ-21ПФМ / Изделие 94А) UF/NCAF MiG-21PFM #72
TsD-30TP(RP-21)レーダーを搭載したMiG-21PFSの改良型。試作機はYe-7Mと呼ばれた。比較的少数が生産されたに留まった。風防はMiG-21PF同様のワンピース型。
MiG-21PFM
  • MiG-21PFM(МиГ-21ПФМ / Изделие 94Н) ВПС України МіГ-21ПФМ #98, 2000
吹き出しフラップを備えた初期のMiG-21の主要生産型となった。射出座席を新しいKM-1に変更するなどの変更が行われていた。また、機関砲コンテナーの搭載能力も付加されていた。なお、射出座席の変更に伴い風防はそれまでの前開きのワンピース型から横開きのツーピース型に変更されたが、ワンピース型同様に上方へやや膨らみをもった形状のものと上辺が直線的でリアビューミラーを装備したものとがある。風防の型は、MiG-21S/SM/M辺りまで同様に2種類のものが見られた。
  • MiG-21PD(МиГ-21ПД) ВВС СССР МиГ-21ПД
1967年に初飛行したMiG-21PFMの改設計型で、2機のリフトエンジンを搭載する垂直離着陸機の研究機として用いられた。これを基にMiG-23PD垂直離着陸戦闘機が製作されたが、こちらも量産には結びつかなかった。
  • MiG-21R(МиГ-21Р / Изделие 94Р/03) SRAF MiG-21R #1923, 2004
前線偵察機型。Ye-7Rとして1965年に初飛行を行った。外見上は第3世代機の最初の機体として数えられるが、実際は第2世代機の背部燃料タンクを大型化しただけの機体であった。また、Ye-7Rや初期のごく少数の量産機はMiG-21PF同様の機体を使用していた。ソ連空軍の他、各国で使用されたが、機体製作年が早かったため他の第3世代機よりも先に退役している場合が多く、その場合はMiG-21MFを改修したMiG-21MFRなどがMiG-21Rの後継機として運用される場合もあった。
  • MiG-21RF(МиГ-21РФ) EAF MiG-21RF
MiG-21Rの輸出型として開発された。MiG-21Rとは装備等若干異なる。なお、MiG-21RFは主力型とはならず、MiG-21Rの方が多く輸出された。
  • MiG-21S(МиГ-21С / Изделие 95) ВВС СССР МиГ-21С #92, 1995
第3世代機。新型のサプフィール22(RP-22)レーダーを搭載した。新型のR-11F2S-300エンジンを搭載し、1963年に初飛行を行った。なお、冷戦時代には西側諸国からは「MiG-21PFMA」であると誤認されていた。
  • MiG-21SM(МиГ-21СМ / Изделие 15) ВПС України МіГ-21СМ, 2001
MiG-21SにGSh-23L連装機関砲を固定装備した機体で、一時はソ連の空軍戦力の主力となった。Р-13-300エンジンを搭載し、1969年に初飛行を行った。MiG-21シリーズの中で最も多くの機体が製作されたとされる。MiG-23などが主力戦闘機となった後は、戦闘爆撃機として使用された。
  • MiG-21I ANALOG / A-144(МиГ-21И АНАЛОГ / А-144) ВВС СССР МиГ-21И(№2), 1995
Tu-144開発のために製作された試験機。MiG-21Sの胴体を利用して製作され、1968年に初飛行を行った。
  • MiG-21M(МиГ-21М / Изделие 96)
MiG-21SMの輸出向けダウングレード型で、一世代前のRP-21MLレーダーを搭載していた。エンジンもMiG-21PFMと同じR-11F2S-300を搭載し、1968年に初飛行を行った。生産はMMZ「ズナーミャ・トルーダ(労働の旗)」工場で1968年から1971年まで行われた。インドでは1971年よりライセンス生産が行われ、1973年よりインド空軍に配備された。
  • MiG-21MA(МиГ-21МА / Изделие 96А) ВВС Българии МиГ-21МА #613 SRAF MiG-21MA #1210, 2003
単にMiG-21Mとも呼ばれる。
MiG-21MFとMiG-21UM
  • MiG-21MF(МиГ-21МФ / Изделие 96Ф) БВВС МиГ-21МФ #52, 2005
サプフィール22(RP-22)レーダーを搭載するなどMiG-21SMと同程度の能力を持った輸出型。R-13-300エンジンを搭載し、1970年に初飛行を行った。MMZ「ズナーミャ・トルーダ」工場において1970年から1974年まで生産された。輸出型の主力となった機体。
  • MiG-21MF-75(МиГ-21МФ-75 / Изделие 63) БВВС МиГ-21МФ-75 #112
  • М-21
1967年に初飛行した標的機型で、MiG-21PFやMiG-21PFMから改修されていた。
  • MiG-21SMT(МиГ-21СМТ / Изделие 50) ВВС СССР МиГ-21СМТ #11, 2003
大型の背部燃料タンクを装備する機体として開発されたが、機体バランスが崩れ失敗作といわれた。1971年に初飛行。一部の機体は、MiG-21STに改修された。
  • MiG-21ST(МиГ-21СТ) ВВС России МиГ-21СТ #40, 2004
失敗に終わったMiG-21SMTを改修した機体。
  • MiG-21MT(МиГ-21МТ / Изделие 96Т)
R-13F-300エンジンを搭載するMiG-21Mの発展型として開発された。装備等はMiG-21MFと同様で、1971年よりMMZ「ズナーミャ・トルーダ」工場で生産が始められたが、15機しか製作されなかった。
MiG-21bis LAZUR
MiG-21bis SAU
  • MiG-21bis LAZUR(МиГ-21бис ЛАЗУР / Изделие 75А)WLiOP MiG-21bis #9703, 2004
第4世代機。大幅な改良型で、1970年代から1980年代にかけてソ連の主力機となった。R-25-300エンジンを搭載し、1971年に初飛行を行った。
  • MiG-21bis SAU(МиГ-21бис САУ / Изделие 75Б) БВВС МиГ-21бис САУ #261, 2005
ソ連での生産機としては最終型となった。改良された電子機器を搭載した。なお、<<75A>>と<<75B>>は、正式名称はどちらも単に「MiG-21bis」と称されることが普通である。また、資料によってはMiG-21bis-Kと表記しているものもある。
  • MiG-21bis(МиГ-21бис / Изделие 75) IAF MiG-21bis #C2122
インドでのライセンス生産機。
  • MiH-21bis(МіГ-21біс) ВПС України МіГ-21біс
ウクライナで開発された海外向けの近代化改修型。
  • MiG-21U-400(МиГ-21У-400 / Изделие 66) FAR MiG-21U-400 #1120
最初に生産された複座型。高等練習機としての運用の他、様々な試験用途にも使用された。
  • MiG-21U-600(МиГ-21У-600 / Изделие 67) FAR MiG-21U-600 #3517 WLiOP MiG-21U-600 #2420, 2005
改良型。垂直尾翼が大型化されるなどしている。<<66>>と<<67>>はどちらも単に「MiG-21U」と称されることも多い。
  • MiG-21US(МиГ-21УС / Изделие 68) ВВС Българии МиГ-21УС #05, 2000 DDRLA/BLW MiG-21US #2405, 2004
改良型。電波受信部などが変更されている。MiG-21PFM以降の単座型同様、吹き出しフラップとKM-1射出座席を装備している。
MiG-21UM
  • MiG-21UM(МиГ-21УМ / Изделие 69) ВВС Българии МиГ-21УМ #27 WLiOP MiG-21UM #9353, 2004 CzechAF MiG-21UM #9322, 2004 WLiOP MiG-21UM #9344, 2005
改良型。なお、グルジアではソ連からの独立後も生産が続けられ、1990年代後半に2機だけ製作されている。
  • MiG-21K(МиГ-21К)
新しい空対空ミサイルであるR-27RやR-73を運用可能とするなどした、MiG-21SMの近代化改修機。
  • MiG-21UPG / MiG-21-93(МиГ-21УПГ / МиГ-21-93) ВВС России МиГ-23-93 #21-93, 1995
ロシアで開発された近代化改修機。R-25-300エンジンを搭載し、1994年に初飛行した。インドに採用された他、イエメン共和国、ブルガリア、クロアチアなどにも採用される可能性がある。高性能の小型レーダーであるコピヨー()を搭載している。第4世代の戦闘機を圧倒する性能を持つとされ、また本来小型・軽量のため運動性にも優れているが、エンジンはMiG-21bisのままであるためその欠点はそのまま受け継いでいる。
  • MiG-21BISON IAF MiG-21BISON #CU2819, 2004
MiG-21-93のインドでの採用名称。
  • MiG-21-93I(МиГ-21-93И)
  • MiG-21-98(МиГ-21-98)

ルーマニア/イスラエル/クロアチア

  • MiG-21RFM FAR MiG-21RFM #710
ルーマニアのMiG-21PF。
  • MiG-21RFM-M FAR MiG-21RFM-M #4710, 2004
ルーマニアのMiG-21PFM。
  • MiG-21M LANCER I / MiG-21M LANCER A FAR MiG-21M LANCER A #806, 2004 RoAF MiG-21M #715, 2001 FAR MiG-21M LANCER A #904, 2001
  • MiG-21MF LANCER I / MiG-21MF LANCER A FAR MiG-21MF LANCER A #7701, 2001
ルーマニアの近代化改修機で、主に対地攻撃を行うとされる。R-25-300エンジンを搭載している。
  • MiG-21M LANCER II / MiG-21M LANCER C
ルーマニアの近代化改修機で、主に防空任務を行うとされる。
  • MiG-21MF LANCER II / MiG-21MF LANCER C FAR MiG-21MF LANCER C #6807, 2005
LANCER II規格に改修されたルーマニアのMiG-21MF。
  • MiG-21MF-75 LANCER II / MiG-21MF-75 LANCER C
LANCER II規格に改修されたルーマニアのMiG-21MF-75。
  • MiG-21UM LANCER I / MiG-21UM LANCER B FAR MiG-21UM LANCER B #327, 2004
ルーマニアのMiG-21UM近代化改修機。
  • MiG-21bis LANCER III FAR MiG-21bis LANCER III #165, 1999
MiG-21bisに対する近代化改修機で、フルヴァージョンのものの販売実績がないが、クロアチアのMiG-21bis LAZURは限定的ながらこの規格に改修されている。
  • L-17D/MiG-21bisD HRZiPZO MiG-21bisD #116, 2005
クロアチアの改修機で、ルーマニアのLANCER III規格の簡易型。
  • MiG-21UMD HRZiPZO MiG-21UMD #167, 2004
ルーマニアで改修されたクロアチアのMiG-21UM近代化改修機。
  • MiG-21-2000 UgandaAF MiG-21-2000 #9811, 2004
イスラエルで開発された近代化改修機。ウガンダがポーランドより購入したMiG-21bisを購入した際この規格に改修して配備した他、ザンビア、エチオピアも改修したされる。ラオスは契約は結んだものの、経済的な理由から中止された。

ユーゴスラヴィア/セルビア・モンテネグロ

L-12
  • L-12(Л-12) РВиПВО ВСЦГ Л-12 #22532, 2005
旧ユーゴスラヴィアのMiG-21F-13。
  • L-14(Л-14) РВиПВО ВСЦГ Л-14 #12716, 2004
旧ユーゴスラヴィアのMiG-21PFM。
  • L-14i(Л-14и) РВиПВО ВСЦГ Л-14и #26112, 2002
旧ユーゴスラヴィアのMiG-21R。
  • L-15(Л-15)
旧ユーゴスラヴィアのMiG-21M。
  • L-16(Л-16) [РВиПВО Л-16(МиГ-21МФ), 2005
旧ユーゴスラヴィアのMiG-21MF。
  • L-17(Л-17) HRZiPZO L-17 #102, 2002
旧ユーゴスラヴィアのMiG-21bis LAZUR。
  • L-17K(Л-17К) РВиПВО ВСЦГ Л-17К #17126, 2005
旧ユーゴスラヴィアのMiG-21bis SAU。
  • NL-12(НЛ-12) РВиПВО ВСЦГ Л-12 #195, 2001
旧ユーゴスラヴィアのMiG-21U。
  • NL-14(НЛ-14)
旧ユーゴスラヴィアのMiG-21US。
  • NL-16(НЛ-16) РВиПВО ВСЦГ НЛ-16 #16174, 2003
旧ユーゴスラヴィアのMiG-21UM。

チェコスロヴァキア/チェコ

  • S-106 SlovakiaAF S-106 #9904, 2003
チェコスロヴァキアでのライセンス生産機で、第二風防が金属製になるなどソ連製のMiG-21F-13とは異なる点がある。名称はのちに単なるMiG-21F-13に変更された。
  • MiG-21MFN CzechAF MiG-21MFN #2500, 2005
チェコのMiG-21MFのNATO仕様改修機。2005年まで運用後、JAS39グリペンに代替される。

フィンランド

  • MiG-21F-13
フィンランドで独自に改修された機体で、MiG-21bis導入後、偵察機に改修された。
  • MiG-21bis FinlandAF MiG-21bis MG-135, 1996
フィンランドで独自に改修された機体。
  • J-7 (殲-7)PLAAF J-7 #98071
中華人民共和国で生産されたMiG-21F-13に準じた初期型。しかしながらその初飛行は遅く、1966年であった。なお、J-7は殲撃七型を略記した殲-7のローマナイズ表記である。なお、中国語で殲撃機とは戦闘機のことを表す。中華人民共和国での生産は、当初は瀋陽飛機工廠(現在の瀋陽飛機工業公司、旧満洲飛行機の施設)で行われていたが、1968年8月以降、単座型J-7は基本的に成都飛機工廠(CAC)で生産されている。なお、文化大革命の影響であらゆる工業製品は一時生産不能に陥ったが、J-7の生産は1970年代半ば頃に再開されたものと見られる。J-7は、1969年の珍宝島事件(ダマンスキー島事件)に際してはJ-6などとともに戦線へ投入されたが、同地域では数機のJ-7がソ連空軍のMiG-23やストリェラー2地対空ミサイルの攻撃によって失われている。また、J-7は1979年の中越戦争でも使用された。
  • J-7I
1976年6月に初飛行したJ-7の発展型。30 mm機関砲 1門を増設し、MiG-21F同様 2門を装備している。
  • F-7A AlbaniaAF F-7A #0304
アルバニア、タンザニアに輸出された機体。F-7IAとも表記されることもある。なお、F-7はJ-7の輸出名称である。
  • J-7II PLAAF J-7II #3147
独自の改良型で、射出座席やエンジン及びエンジン室の改善、機内燃料タンクの増設などが行われている。人民解放軍空軍の主力となった他、同海軍にも配備されている。1978年12月に初飛行。
  • F-7II PLAAF F-7II PLAAF F-7II #95016
ジンバブウェに輸出された機体で、同国ではホークやハンターと共に使用されている。
  • F-7IIA
  • F-7IIの発展型。
  • F-7IIN
ジンバブウェに輸出された機体。
  • F-7B
朝鮮民主主義人民共和国、イラク、エジプト、スーダンへ輸出された機体。
  • F-7BS SLAF F-7BS #CF708
戦力増強のためスリランカへ輸出された機体。
  • F-7Mエアガード(F-7M Airguard) IRIAF F-7M PLAAF F-7M IraqAF F-7M
輸出向けのJ-7IIの改良型として開発され、1983年に初飛行した。ハードポイントを4ヶ所に増設している。MiG-21MFの後継機としてバングラデシュ、ミャンマー、イエメン共和国、イランへ輸出された。
  • F-7Pエアボルト(F-7P Airbolt) PAF F-7P #521, 2004
パキスタンへ輸出された機体。1988年に初飛行した。
  • F-7MPエアボルト(F-7MP Airbolt) PAF F-7MP #575
1989年に初飛行したF-7Pの発展型。
  • J-7C / J-7III PLAAF J-7C #30163 PLAAF J-7C #25003 PLAAF J-7C #30062
エジプトより入手したソ連製のMiG-21Mをコピーした機体。ドラッグシュート収納部は中国式で、MiG-21Mと異なる。成都と貴州が共同開発し、1984年に初飛行。
  • J-7D / J-7IIIA
1993年に初飛行した機体で、J-7IIIの発展型。J-7Dとして人民解放軍空軍に配備された。
  • J-7E PLAAF J-7E, 2004
主翼をダブルデルタ翼に改修し、電子装備等を改良した機体。1990年に初飛行。
  • F-7MG PLAAF F-7MG #0142, 1998 PLAAF F-7MG
J-7Eの輸出型。1995年に初飛行。
  • F-7PG PAF F-7PG #834&806 PAF F-7PG #01-807
F-6を代替するためパキスタンが導入したJ-7Eの輸出仕様機。
  • J-7G
2003年に初飛行したJ-7Eの発展型。
  • F-7NI
ナイジェリアのF-7PG。
  • JJ-7
MiG-21Uに準じた複座練習機(中国語:殲教機)型。殲教七型の略号。1985年に初飛行を行った。なお、複座型FT-7の生産は貴州で行われている。
  • FT-7
JJ-7の輸出名称。
  • JJ-7A
  • FT-7A
F-7Aの複座練習機型。
  • JJ-7B
  • FT-7B
F-7Bの複座練習機型。
  • JJ-7M
  • FT-7M
F-7Mの複座練習機型。
  • FT-7P PAF FT-7P #611, 2004 PAF FT-7P #402
パキスタンへ輸出されたF-7Pの複座練習機型で、23 mm連装機関砲を装備するため胴体が延長されている。
  • FT-7PG
パキスタンへ輸出された機体。
  • FT-7NI
ナイジェリアのFT-7PG。
  • FC-1梟龍 / スーパー7(FC-1 Xiaolong / Super-7) PAF Super-7 PLAAF FC-1 #03 PLAAF FC-1 #04
Fighter China-1を意味する名称。同じく成都で開発されている殲撃10型とは別に、1980年代よりアメリカ合衆国の技術支援により開発された第4世代機。しかしながら第二次天安門事件のためアメリカ合衆国からの援助が打ち切られその開発は難航した。2003年に初飛行を行ってはいるが、電子機器をはじめ、各部分が完全に出来上がっているのかは疑問とされる。特徴として電子機器搭載スペース拡大のためエアインテイクが側面に移り、今までのMIG-21系列とは外見が大きく異なる。電波吸収材も採用されてる。エンジンはロシアのクリーモフ製RD-93が単発で用いられている。武装は、PL-12などの中距離レーダーホーミングミサイル等が運用可能になるという。    開発経緯                                              中国はMig-21をベースにしたJ-7戦闘機を開発し多くの国へ輸出していたが、基本設計は古く時代遅れの機体であったため、J-7をベースに大幅な設計変更を行いアビオニクスも最新のものとして輸出型を開発する計画を1980年中頃に立てた。1987年に米P&W社の代表団が北京を訪れ、PW1120(1基200万ドル)、F404(1基180万ドル)、PW1216(1基130万ドル)の3種のエンジンを提案、また同年5月には英ロールス・ロイス社の専門チームが中国に派遣されRB199-127/128の提案を行った。これらに中国が開発中の渦噴14を加えた5種からエンジンが選定される事になり、機体の開発はグラマン社の協力で中国第132航空廠が担当、設計は第611設計局(現在の成都飛機設計研究所)が行う事になった。

この近代化型F-7はパキスタン空軍での運用が前提にあるため、インド空軍のMig-29を圧倒する事が目標とされた。グラマン社の協力でF-16に似たベントラル・フィンを採用する事で機動性を向上し、またサイド・エア・インテークもF-16のものを参考に内側に10゜傾けて胴体にめり込むような形で装備され空力的に洗練された。このようにF-16の機体構造が非常に参考にされ開発は順調に進められていたが、1989年の天安門事件によりアメリカは制裁措置を発動しグラマン社は中国から撤退、1990年には全てのアメリカ企業が中国から引き揚げた。これにより近代化F-7の開発計画は大打撃を受けたが中国とパキスタンは開発続行を表明、代わってFC(Fighter China)計画が1991年に開始された。これがFC-1のスタートである。

当初、開発は既に関係改善が図られていたロシアのミコヤン設計局の小型戦闘機計画に相乗りする形で進められた。この計画は1980年代半ばにMig-29の単発小型化案「Mig-33」として開発が進められていたものである。のちにロシア側の計画は中止され、中国とロシアの協議によりMig-31のレーダー技術とMig-29のエンジン改良型を搭載する事が決定、ミコヤン設計局の協力のもとに中国第132航空廠が開発を担当することになった。躓いていたエア・インテークの改設計はミコヤンの協力で成功し、水平尾翼もF-16のものを参考にしつつMig-29の技術を応用してより大きな角度で可変できるようになるなど、機体各部にMig-29の技術が取り入れられている。

1997年には地上試験用の機体フレーム2機が作られてテストを始め、初飛行は当初1997年といわれていたが大幅に遅れたようで、初号機がロールアウトしたのは2003年5月の事だった。初飛行は2003年8月で、この飛行はわずか8分間だったが2回この日に飛行を行っている。公式の飛行試験は2003年9月から行われた。

FC-1はJ-7の発展型だが、機体形状は大幅に変わっている。機首部のインテイクを廃止し、胴体側面に置くサイド・インテイク方式を採用した。これにより機首は先端部をレドームのみとすることが可能になった。搭載するレーダーはロシア製のファザトロンKOPYO、イタリア製のLIAR(現ガリレオ)Grifo-S7、タレス社のRC400などが候補になっていたが、試作機にはイスラエル製のエルタEL/M-2032が搭載された。量産型ではイタリアのGrifo-S7が搭載されるようだ。Grifo-S7は25の対空対地モードを有し、捜索距離は62km(ルックダウン35km)で10目標を同時追跡可能(但し同時攻撃は不可能)。このGrifo-S7とPL-12アクティブ・レーダー誘導空対空ミサイルを組み合わせ、BVR(視程外攻撃)能力を得る予定。HUDや前方赤外線捜索・追跡システムは中国製で、GPS入力を備えたリングレーザー・ジャイロ慣性航法システムも装備している。操縦系統は2重のデジタル・フライ・バイ・ワイヤだ。主翼は中翼配置で、前縁付け根に小さなストレーキがある。水平尾翼は胴体後部の低い位置に配置されている。垂直尾翼は前縁後退角が大幅に減らされ、また後縁部もほぼ垂直に立つような形となった。エンジンはMig-29のRD-33エンジンの改良型であるRD-93ターボファン・エンジンの単発だが、顧客の要望によっては同等の西側ターボファン・エンジンを装備できるようになっている。

ハードポイントは胴体下1箇所と主翼下4箇所の計5箇所。このほかに主翼両端にAAMランチャーが設けられている。携行兵器は基本的に中国製のPL-8やPL-9、PL-12などのAAMだが、パキスタン仕様のJF-17ではAIM-9Pサイドワインダーの運用能力が付与されている。対地攻撃兵器は無誘導の爆弾・ロケット弾のほか、レーザー目標指示ポッドを搭載する事で精密誘導爆弾の運用も可能。

FC-1はJF-17という名称でパキスタンでも採用されており、製造の一部も担当している。RD-93エンジンはモスクワにあるシェルニチェフ機械製造工場が生産する。FC-1(JF-17)はパキスタンが150機導入を予定しており、中国空軍は250機程度を導入するといわれている。FC-1はF-5E/FタイガーIIやダッソー・ミラージュIII/5、Mig-21/J-7の後継機として各国に売り込むことを狙っており、バングラディシュやエジプト、ナイジェリアなどが興味を示していると言われている。しかしロシアがRD-93エンジンの輸出を認めるかどうかは不透明で、中国がRD-93をリバース・エンジニアリングして国産化するという噂もある。

  • JF-17サンダー(JF-17 Thunder) PAF JF-17 #01
Joint Fighter-17を意味する名称。FC-1のパキスタン空軍での制式名。2006年よりPakistani Aeronautical Complex (PAC)で生産が開始される予定である。
  • F-7MF
FC-1の輸出向け廉価版として開発されている多目的戦闘機。
  • F-7FS
1998年に初飛行した試験機で、F-7MF用のレーダーをテストした。

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