F-16は、ゼネラル・ダイナミクス社が開発し、アメリカ軍を始め、多くの空軍に正式採用された戦闘機。愛称は『ファイティング・ファルコン』、非公式な愛称としてはバイパーとよばれる。
初飛行は1974年。現在、ゼネラル・ダイナミクス社はロッキード社と合併したため、ロッキード(現ロッキード・マーチン)のブランドとなっている。

開発は1969年より開始されていた。1971年に空軍の軽量戦闘機 (LWF) 計画に応募・採用され、1972年4月よりYF-16として開発が開始された。
同計画においては競争試作機のYF-17も開発されている。軽量戦闘機計画は採用を前提としない技術研究的なものであったが、F-15が高価格となったことにより、
安価な戦闘機の入手必要性が生じ、1974年に軽量戦闘機計画のうち優秀なものを採用することとなった。

初飛行は1974年2月2日のことである。飛行試験は1974年一杯続けられ、YF-17との比較の結果、YF-16の方が優れているとされ、1975年1月にF-16として制式採用された。

当初は昼間軽量戦闘機として開発されていたが、後に対地攻撃能力も付与された全天候型戦闘機となった。


特徴

F-16は、当初から革新的技術を多く取り入れた設計となっていた。とくに有名なものは、実用軍用機として世界初のフライ・バイ・ワイヤー (FBW) を取り入れたということである。FBWとは操縦桿などによる入力をそのまま油圧などを介して制御舵面に伝えるのではなく、入力を電気信号に変換してアクチュエータへ伝達させて制御舵面を動かすというものである。
これによって途中でコンピュータによる補正を加えることが可能となった。その補正を加える技術をF-16は取り入れることで、静安定性が緩和された機体でも安定化され、
機動性とともに操縦性をも向上させている。
また操縦桿の位置が両足の間という一般的な場所から操縦者の右側へ移動している。操縦桿自体も数mmしか動かず、操縦桿を動かした量ではなく操縦桿に加わる圧力を感知してそれによって
舵面変角量を変えている。

アメリカはF-16が開発される以前にF-15を開発したが、F-15は高性能ではあるが高価であるためアメリカ軍でも十分な数は配備できなかった。そのため、F-15にくらべて安価であるF-16が大量に配備され、現在では機数の上ではF-16はF-15を大きく上回っている。F-15は大型で低空戦闘能力がなく高価であるのに対し、F-16は軽量小型で機動性があり安価で300mの低空戦闘能力も有している上、対地対空攻撃を万能にこなすため、アメリカ以外の西側諸国でも多く採用され現在までに4000機以上のセールスとなっている。また日本のF-2支援戦闘機や台湾のF-CK-1などの原型にもなっている。

派生型

YF-16

試作機。レーダーFCSを装備していない。

F-16A/B
  • Block 1:F-16の初期型。
  • Block 5:レーダードームを黒から灰色に変更、内部の改良を行う。
  • Block 10:Block 5の改良型。
  • F-16A+/B+(Block 15):最初のアップグレード型。NATO参加国に輸出された機体は、ADFに相当する艤装が行われている。
    • F-16 ADF:空軍州兵で使用されていた形式。F-16A+/B+へスパローの運用能力とドラッグシュートを追加。
    • F-16 AM(MLU):オランダ、デンマーク、ベルギー、ノルウェーが保有するF-16 Block 15に対して行われた近代化改修型。
    • F-16/79:77年にカーター政権が「NATO諸国とイスラエルにのみF-16の輸出は許可される」という武器輸出政策を発表したため、規制対象であるF100エンジンを安価で整備性もよく輸出実績のあるGE製J79に交換した輸出仕様が国防総省の資金で製作された。性能はF100搭載のF-16とF-5の間とされ、限定的ながらマルチロール能力も持つはずであった。オーストリア、ヨルダン、マレーシア、ナイジェリア、シンガポール、台湾、タイに対してブリーフィングが行われたが80年の武器輸出規制の緩和によってF-16A/Bの販売が可能となったため、1機も売れることなく終わった。
    • F-16/101:エンジンをF-100系列からB-1A用に開発されたF-101へ変更した機体。F-101が搭載されるF-16は量産されなかったが、2005年現在アメリカ空軍のF-16の大部分がF-101の発展型であるF-110系列のエンジンを搭載している。
    • F-16XL:主翼をデルタ翼に改修し、対地攻撃能力を向上させた型。F-15Eとの比較の結果採用されず。
  • Block 20:台湾に引き渡された型、F-16A/Bの機体にBlock4x/5x相当の機材を搭載した物。Block 15からBlock 25に生産が移行した際に飛ばしたBlock 20という型番を与えられている。
F-16C/D
  • Block 25:A/B型の能力向上版。
  • Block 30:エンジンをF-110系列の物に変更した物、一部の機体は、インテークを拡大したモジュラー・コモン・インレット・ダクトに交換し、エンジンの吸気効率を良くする事で低下した運動性能を改善している。
  • Block 32:F-100エンジンを装備した形式。
  • F-16N/TF-16N:アメリカ海軍のアグレッサー部隊による異機種戦闘訓練用に開発された型。Block 30に相当。機銃を下ろした代わりに、空戦機動を記録するための機材を追加。TF-16NはN型の複座仕様、1991年に定期点検で主翼にクラックが発見された事により飛行停止、1995年に除籍。
  • Block 40/42(F-16CG):ナイトアタックファルコンと呼ばれる機体、Block 30後期型の拡大型インテークを生産段階で装備し、LANTIRNポッドとレーザー誘導爆弾の運用能力を追加した形式。ただしF100搭載機とF110搭載機の間で、エンジンと付属する補記類の積み替えのみによる完全なパワーユニットのデュアルソース化には対応していない。
  • Block 50/52(F-16CJ):在来型から改修されたGPS/INS機器の搭載と空対空ミサイルのボアサイト射撃、ハープーン及びJDAM等のGPS誘導兵器への対応。パワーユニットのデュアルソース化に完全対応。
  • Block 50D/52D:Block 50/52に生産段階で、防空網制圧(SEAD)としての装備とフルスペックでのARM運用能力を追加した物。
    • F-16 CCIP:教育とメンテナンスの簡易化を狙った、Block 40/42/50/52の艤装を統一する改修。
    • F-16I:イスラエルへの輸出型。block52のD型の機体背面に電子戦の機材を追加した物。
    • KF-16:F-16C/D Block 52を韓国国内でノックダウン生産した機体。
F-16E/F
  • Block 60:F-16C Block 50/52のアップグレード型新造機。アメリカ空軍で新造機の採用計画が無いため輸出専用となる。アラブ首長国連邦への輸出契約が結ばれたほか、シンガポールにも提案されていた。

採用国

  • アメリカ合衆国(空、海軍)
  • ベルギー
  • オランダ
  • デンマーク
  • ノルウェー
  • イスラエル(A/B/C/D/Iの各形式を保有、IAIラビ原型)
  • パキスタン
  • ベネズエラ
  • エジプト
  • トルコ
  • 大韓民国(C/D及びノックダウン生産したKF-16を保有、T-50原型)
  • ギリシャ
  • シンガポール
  • タイ王国
  • インドネシア
  • バーレーン
  • ポルトガル
  • 中華民国(「経国」原型およびF-16A/Bを保有)
  • ヨルダン
  • アラブ首長国連邦
  • イタリア(タイフーンの初期作戦能力獲得とF-104の退役のタイムラグで生じる防空能力の低下を補うためリース)
  • ニュージーランド (ただし、全28機を購入中止に)

F-16を基礎に設計された機体

  • F-CK-1(経国戦闘機):中華民国がF-16を元にして開発した戦闘機。F-16の輸出が許可されたため、製造数減少。
  • F-2:日本の航空自衛隊が運用するF-1支援戦闘機の後継として、F-16を元にし、防衛庁技術研究本部が主契約会社を三菱重工業株式会社に認定してロッキード・マーチンと共同開発した支援戦闘機。
  • ラビ:イスラエルのIAIが開発していた戦闘機、開発費の高騰とF-16の輸出許可が前倒しされたため計画を放棄した。
  • 殲撃10(J-10):イスラエルが放棄したラビの設計を元に、中国の成都飛機設計研究所が開発した多目的戦闘機。製造は成都飛機公司。
  • T-50:ロッキード・マーチンが設計を行い、韓国のKAIが生産する練習機、有事の際には軽攻撃機として使用可能。

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