「抗力の利用から揚力の利用へ」

 歴史を調べることは未来を想像することと同等に重要なことである。人類は、より早く、より効率よく、より安全に様々なものを輸送、生産するシステムを構築してきた。抗力から揚力へ機械類が発達してきた歴史について考えていきたい。

 歴史上最初に現れた風車は10世紀のペルシャの事典に記録されたものであり、抗力を利用していた。風車に対して、抗力の代わりに揚力を使うことを思いついたのは、記録が残っているところでは13世紀である。以後、揚力利用型風車は今日まで発達して生きた。

 水車も風車と同様に、抗力の利用から揚力の利用へと変遷した。

 船舶においては古代エジプトの時代から推進力として帆を用いてきた。中世には帆の推進力は揚力を利用するものになってきた。

 蒸気機関の発明と共に熱機関による動力を用いるようになってきた。動力船の最初のタイプは、外輪装置という水車上の推進器を回し、水をかいて進むものであった。

 その後、揚力を利用したスクリュープロペラが発明され、最も一般的な推進器になっている。しかしながらスクリュープロペラが最適かというと、必ずしもそうでなくスクリューにも限界がある。中でも怖いのはキャビテーションと呼ばれる現象である。キャビテーションが起きると推進力は減少し、プロペラそのものを腐食させたり、疲労させたりする。高速船になると、スクリュープロペラの回転数を上げざるを得ず、どうしてもキャビテーションの発生を避けられなく推進効率が悪くなる。そこで登場したものがウォータージェット推進器である。このウォータージェット推進器の歴史は以外に古く、1661年に特許が取られているが、実用的になったのは第二次世界大戦以降のことである。1960年代に米海軍が開発した全没型水中翼船に使用されるようになって、ようやく脚光を浴びるようになった。

 ウォータージェット推進装置の長所として

@     高速性能に優れる。A安全性に優れる。B操船性がよい。C乗り心地がよい。

ウォータージェット推進装置の短所として

@     推進効率が悪い。A価格が高い。

こららのようにウォータージェット推進装置は低価格で推進効率を高めることができれば利用範囲が広がる可能性が高い。

 歴史的に見ればレイノルズ数に比例して、機械類や生物は巨大化とともに抗力の利用から揚力の利用へと変化してきた。ウォータージェット推進装置の基本原理は、ジェットスイシンシステムといい、水を高速で噴出するその反動水力、すなわち抗力で推進させることであるが、揚力を利用することができたならば推進効率は確実に高まる。また、推進効率の向上により推進機関の低コスト化が可能である。

 水を高速で噴出する装置は抗力だけを使うのはエネルギー的にもったいない話である。

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